屋上に建物増築やプレハブを設置することは可能か?

限られたスペースしか有効利用できない都会における屋上の持つ可能性については、ご理解いただけるかと思います。そして、中には古めのビルの屋上などで増築が行われていたり、プレハブが設置されているのを見られたこともあるかと思います。一見すると、それらは屋上の有効利用として、正しいもののように思われるかもしれませんが、実は色々な問題を含んでいたりするのです。今回は、そんな屋上での増築やプレハブの設置について見ていきます。

〇屋上で増築やプレハブを設置する背景は?

 ビルや民家等の屋上で増築やプレハブを設置する目的は、勿論、新たなスペースを作り出すことです。特に地価の高い都会ではなかなか余裕のある面積の土地を敷地として利用することは出来ません。そのため、当初の建築工事が終わって、建物を使っていくうちに手狭になった場合など、使える床面積を増やすため屋上で増築やプレハブの設置が行われたりします。

〇屋上で増築やプレハブを設置する際の問題点

 屋上で増築やプレハブの設置が行われる背景について見て来ましたが、実際には、色々な問題点を抱えています。代表的なものである、構造的な問題と法律的な問題について考えてみたいと思います。

  • 構造的な問題

まず、構造面についてですが、主に次の2つの問題を抱えることになります。

・屋上との接合

屋上の強度

当然ですが、新たに構造物を設けるわけですから、既存の建物の屋上に新たに固定する工事が必要となりますが、屋上や屋根の一部を壊して、新たに接合することになります。当初は、設計に盛り込まれていないものですから、実はこれだけでも、結構、難易度の高い工事になります。屋上等では、風の影響も強くなるため、近年の台風の際の強風や竜巻等の発生を考えると、相当、堅固なものにしなければなりません。

また、増築でもプレハブの設置でも、相当な重さのものが、のっかるわけですから、屋上がそれに耐えられるような設計になっているのかという問題があります。その他にも風や地震の際の揺れ方にも変化が起こり、耐震性にも問題が出て来るかもしれません。

  • 法律的な問題

また、増築やプレハブの設置でも、建築基準法等の規定に違反する行為を行うことはできません。例え小規模で申請の必要がない場合でも、法律に定められた基準を満たさなければ、違反建築として、使用禁止や撤去命令等の処分を受ける可能性があります。容積率や高さ、斜線規制といったものに抵触する可能性もありますし、構造が複雑になってしまい、構造上の安全性が立証できないこともあるかと思います。建築基準法の他にも地域によっては、様々な規制があり、それらの内容に全て合致するものにしなければいけないことは言うまでもないかと思われます。

〇屋上を有効利用するに当たって守らなければいけないポイントは?

 屋上に増築やプレハブの設置をする際の問題点についてお話してきましたが、それでも屋上の持つ可能性を見過ごすことはできないかと思います。屋上を利用して新たな空間を創出する場合、あくまでも安全性や法律に違反しないという前提で計画を立てる必要があります。具体的には建物の構造や地域における法規制をよく調査し、出来る範囲を見極めた上で、計画を立てる必要があります。

今回は、屋上で増築やプレハブの設置を行うケースについて考えてみました。

私達、東京借景は、屋上の持つ可能性、魅力を最大限、追求していきたいと思っています。そして、そのために最低限必要なのは、今回、説明させていただいたような問題点を把握し、建物ごとにオーナー様にとって最適な利用方法を提案させていただくことだと信じています。

決して、安易な提案は出来ないかと思いますが、屋上の利用についてお考えの方は、お話を聞かせていただければと思っておりますので、どうかお気軽にお声がけください。